日本大百科全書(ニッポニカ) 「イタヤカエデ」の意味・わかりやすい解説
イタヤカエデ
いたやかえで / 板屋楓
[学] Acer pictum Thunb.
Acer mono Maxim.
カエデ科(APG分類:ムクロジ科)の小高木ないし高木。葉は対生し、葉柄は一般に長く、6~15センチメートル。葉はほぼ円形で、掌状に3~9裂するが、他の多くのカエデ類と異なり、裂片の縁(へり)は全縁で鋸歯(きょし)がない。冬芽の鱗片(りんぺん)は5~8対。雌雄同株。花は黄色の小花で、10~100個の花が円錐(えんすい)花序をなす。果実は2翼がある。東アジアに広く分布し、日本には7亜種が認められ、イタヤカエデはその総称的な名である。おもなものとしてエゾイタヤは本州日本海側、北海道からシベリアにかけて分布し、若枝と葉柄基部に微細毛がある。アカイタヤは北海道、本州の日本海側に分布し、全体が無毛、果実は大形である。オニイタヤは北海道南部から九州にかけて分布し、葉裏に短立毛がある。エンコウカエデ(狭義のイタヤカエデ)は本州から九州にかけて分布し、若木の葉は深裂する。イタヤカエデの近縁種が朝鮮、中国から小アジアにかけて12種、ヨーロッパに3種ある。木材は、良質で用途が広い。
[緒方 健 2020年9月17日]