改訂新版 世界大百科事典 「エタロン」の意味・わかりやすい解説
エタロン
etalon
光学的平面をもつ反射鏡,あるいは半透鏡2枚を,ある間隔で平行配置した光学素子の総称。2枚の反射鏡を1方向からの光の波面が2分割される形に配置したものが,最初A.A.マイケルソンによってマイケルソン干渉計と組み合わせてつくられ,メートル原器の測定に用いられた。その後光波基準の高精度決定を目ざし,C.ファブリやA.ペローによって使われたのが,半透鏡2枚を平行に対向させた構造のものである。これはマイケルソンのエタロンとは異なり,光波振幅を半透面間で多分割する形となっている。二つの半透面間で多数回反射を繰り返した光が干渉に与える形で透過するため,多光束干渉の結果おのおのの波長の光に対して鮮鋭な干渉縞が生じ,縞位置の読取精度が高くなる。この性質は近接した二つの波長の光を分離する能力が高いことを示しており,干渉次数が高いためにスペクトルの重なりが著しいという制約はあるものの,高分解用の分光素子としても広く用いられる。
執筆者:南 茂夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報