エチオピア帝国

山川 世界史小辞典 改訂新版 「エチオピア帝国」の解説

エチオピア帝国(エチオピアていこく)

アフリカ北東部エチオピアの帝国。狭義では,19世紀半ばのテオドロス2世による中央集権化以降の体制。伝承では,前10世紀ソロモン王とシェバの女王の子メネリク1世が創始。1世紀から9世紀にかけて栄えたアクスム王国の凋落後,12世紀にザグウェ王朝が台頭し,13世紀ソロモン王朝が青ナイル源流から紅海沿岸に至るイスラーム諸国を併合して隆盛を極めたため,西欧ではプレスター・ジョン伝説の地と考えられた。16~17世紀イスラーム勢力の興隆やクシ系語族のオロモ人の侵略により国内は分裂状態に陥った。19世紀半ばテオドロス2世(在位1855~68)が帝国を再統一し,中央集権制樹立,近代化を推進したが,1868年対英戦争マグダラの戦いに敗北列強の侵略を阻止すべくメネリク2世(在位1889~1913)が軍備増強を図り,1896年アドワの戦いでイタリアを大破し独立を堅持ハイレ・セラシエ1世は国内の封建体制を温存しつつ近代化を進め,イタリア占領(1936~41年)からの独立後は国際的威信高揚に努め,国内の民族解放勢力を弾圧。1974年革命による皇帝廃位で帝国崩壊。

出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報

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