エピソーム

化学辞典 第2版 「エピソーム」の解説

エピソーム
エピソーム
episome

遺伝要素で,宿主細胞にとっては必須の因子ではなく,細胞内で遊離されたままの状態で,それ自体レプリケーターをはたらかせて自律的に増殖が可能である(autonomous state)とともに,宿主細胞の染色体上に組み込まれた状態でも増殖する(intergrate state)ことができるものをいう.この寄生因子は,1958年,F. JacobおよびF. Wollmanによって提唱され,定義された.その例として,λファージのような溶原ファージやコリシン因子,多剤耐性因子(R因子),性決定因子(F因子)などがある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「エピソーム」の意味・わかりやすい解説

エピソーム

遺伝因子一種で,染色体に組み込まれて増殖する場合と,染色体から離れて細胞質内で自律的に増殖する場合との二つの状態をとり得るもの。大腸菌の性決定因子,細菌の抗生物質コリシン生産因子,溶原性ファージなどがこの例。→バクテリオファージ
→関連項目プラスミド

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のエピソームの言及

【プラスミド】より

…プラスミドには多くの種類が見いだされており,細菌の間を伝達するF因子,R因子,コリシン因子などのほか,自力では伝達できない因子も種々見いだされている。プラスミドのうち細胞宿主の染色体の上に挿入されて染色体といっしょに行動する特殊なものをエピソームepisomeと呼んでいる。この性質は接合や導入による遺伝子転移,遺伝子の組換えの実験に応用され,さらに,遺伝子を組み換えたプラスミドを介して,異なる生物種間で遺伝子の転移ができるようになり,遺伝子クローニングをはじめとする遺伝子工学への発展を導いた。…

※「エピソーム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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