自体(読み)じたい

精選版 日本国語大辞典「自体」の解説

じ‐たい【自体】

[1] 〘名〙
① 自分のからだ。
② 本来の性質、特性。もともとの本体。それ自身。根本。
※米沢本沙石集(1283)一「一切衆生は皆如来蔵なり、普賢菩薩の自体(ジタイ)に遍する故にと説て」
※仮名草子・浮世物語(1665頃)一「自体(ジタイ)は親に似て大憶病の者なりければ」
※死霊‐一章(1946‐48)〈埴谷雄高〉「物資自体が持っているような」 〔演義鈔‐六一〕
③ (「…こと自体」「それ自体」などの形で) そのことを強める場合に用いる。…であることがそもそも。
※地唄(1956)〈有吉佐和子〉「一人娘が夫を持つということ自体を、許せなかったのだ」
[2] 〘
※評判記・難波の㒵は伊勢の白粉(1683頃)二「自躰(ジタイ)酔ねば根ぬけの恋に気がならぬ」
※社会百面相(1902)〈内田魯庵〉猟官「我輩は元来(ジタイ)束縛されるのが嫌いだからネ」
② 自ら。自分で。
※春日社記録‐文永二年(1265)五月一一日「氏人祐郡智足院に参して本鳥を自体切了〈略〉今三段か所を四か年未進を自体持参也」

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「自体」の解説

自体
じたい
autos

ラテン語の ipse,フランス語の méme,英語の self,ドイツ語の selbstにあたる語で,特にプラトンイデア説における術語として重要。イデアとはある一つのものが何であるかを説明するときの対象となるものの本質それ自体 autē hē ousia,たとえば「等しさそれ自体」 auto to ison,「美それ自体」 auto to kalonという真の存在 to ontōs onをいい,autosはイデアを個々の感覚的個物から区別する用語として重要な役割を果している (『ファイドン』) 。アリストテレスはイデアと感覚的個物の相違はこの autosに尽きるとし,イデア説は感覚的なものを非感覚的なものと定立し,それに不変という述語を与えているにすぎないと論難している (『形而上学』) 。

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デジタル大辞泉「自体」の解説

じ‐たい【自体】

[名]
自分のからだ。
もともとの本体。それ自身。多くは他の名詞のあとに付いて接尾語的に、関係する他の事柄から切り離して、そのものだけについていうときに用いる。「建物自体はりっぱだが、内装が貧弱だ」
もともとの性質。本性。根本。
「―は親に似て大臆病の者なりければ」〈仮・浮世物語・一〉
[副]もともと。そもそも。元来。地体。「こうなったのも、自体君に責任がある」
[類語]元来もともともとより根っから本来大体どだいそもそも

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