家庭医学館 の解説
えるしにあえんてろこりちかしょくちゅうどく【エルシニア・エンテロコリチカ食中毒】
ブタ肉などの食肉から感染すると考えられていますが、確認されていません。菌が組織に侵入し、毒素原性大腸菌(どくそげんせいだいちょうきん)(「病原大腸菌食中毒」の毒素原性大腸菌)のように腸毒素を生産するといわれていますが、これも確かではありません。
この菌の発病のメカニズム、感染経路、潜伏期間などは、まだよくわかっていないのです。
[症状]
乳幼児は、発熱、軽い腹痛、1日数回の水様性の下痢(げり)がおもな症状で、血便(けつべん)の出ることは少ないものです。ときに咽頭痛(いんとうつう)をともない、かぜによる下痢と診断されることもあります。
年長児は、虫垂炎(ちゅうすいえん)のような症状になることが多く、おとなは、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢などの胃腸炎の症状のほか、発熱、咽頭痛などが出たりします。
[治療]
この病気は軽症で、化学療法薬は必要ないことが多いのですが、重症のときはトシル酸トスフロキサシンや塩酸シプロフロキサシンなどを使用します。
この菌は低温を好み、冷蔵庫の中でも繁殖(はんしょく)しますから、3日以上は冷蔵庫に食品を保存しないようにします。