2000年に登録された世界遺産(文化遺産)。スペイン南東部、バレンシア南方にある地中海沿岸のエルチェ市には、ヨーロッパ最大規模のナツメヤシの農園がある。ここには樹齢300年以上のナツメヤシ約20万本以上が植えられている。この土地にナツメヤシを植えたのは、紀元前1000年頃のフェニキア人とカルタゴ人といわれている。その後イベリア半島を支配したローマ人やムーア人(イスラム教徒)の支配下にも、この椰子園は生き残り、スペイン王国に引き継がれ、今日に至った。この椰子園が現在残されているような姿に整備されたのは、後ウマイヤ朝の初代アミールアブド・アッラフマーン1世の時代で、アラブの先進的な灌漑システムを導入してビナラポ川の水を利用するようになったことによる。これにより、降水量が年間わずか300mmしかないエルチェにおいても、安定したナツメヤシの栽培が可能になった。◇英名はPalmeral of Elche