日本大百科全書(ニッポニカ) 「エンゲルブレクト」の意味・わかりやすい解説
エンゲルブレクト
えんげるぶれくと
Engelbrekt Engelbrektsson
(?―1436)
スウェーデンの民衆反乱指導者。前歴は不詳だが、おそらく下級貴族で鉱山業者。1434年6月ベルィスラーゲンにおいて、デンマーク人官吏の誅求(ちゅうきゅう)に対する農民、鉱夫の武装蜂起(ほうき)を指導した。8月、大貴族、大聖職者をも強要して反乱に参加させ、まもなく大都市を除く全スウェーデンを掌握。35年1月、アルボガに全国の貴族、聖職者、市民の代表を集めて議会を開き、カール・クヌートソンとともに最高軍事指導者に選出された。デンマーク側とは35年秋いったん休戦するが、36年初めふたたび戦闘に入る。同年4月末、療養のため一時隠棲(いんせい)していたエレブロからストックホルムへ向かう途上、イェルマレン湖上の島において、近在の領主により殺害された。彼の死後、カール・クヌートソンらの大貴族によりデンマーク王との妥協が進められ、農民、鉱夫などによる抵抗運動は厳しく弾圧されるようになる。
[本間晴樹]