改訂新版 世界大百科事典 の解説
オイルアグロメレーション
oil agglomeration
石炭スラリーに対する選炭技術の一つで,OA法と略称されることもある。微粉炭を水に懸濁させたスラリーに若干の油とさらに場合によっては界面活性剤を添加してかくはんすると,石炭粒子の表面に選択的に油が吸着して油膜が形成され,その油が架橋材となって石炭の造粒体(ペレット)が形成される。これを残余のスラリーから物理的に分離するという方法で,水中造粒技術の一つといえる。石炭に対するオイルアグロメレーション技術の歴史は古く,トレント法,コンバートル法などが知られている。また最近では,シェル石油会社が開発したSPS法(Shell pelletizing system),オーストラリアBHP社のBHP法,カナダの国立研究所(NRC)が開発したNRCC法などがある。これらの方法は,油の分散・添加方法,スラリーのかくはん・造粒方法,石炭ペレットの分離方法などに,それぞれの特徴がある。たとえばSPS法では,かくはん造粒装置として多数の回転翼をもつ円筒容器が,ペレットの分離装置として湿式ふるい機がそれぞれ用いられている。オイルアグロメレーションにおいては,石炭粒子の凝集によって脱灰・脱硫が行われ,製品ペレットは見掛け粒径が大きいため,後の処理に有利である。また添加された油のほとんどはペレット中に回収されるため,製品の発熱量に寄与する。
執筆者:井上 外志雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報