発熱量(読み)ハツネツリョウ(その他表記)calorific value

デジタル大辞泉 「発熱量」の意味・読み・例文・類語

はつねつ‐りょう〔‐リヤウ〕【発熱量】

一定単位の燃料が完全燃焼したときに発生する熱量石炭灯油などの1キログラムまたは1立方メートル当たりの熱量で表す。

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精選版 日本国語大辞典 「発熱量」の意味・読み・例文・類語

はつねつ‐りょう‥リャウ【発熱量】

  1. 〘 名詞 〙 一定単位量の燃料が完全燃焼したときに発生する熱量。〔稿本化学語彙(1900)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「発熱量」の意味・わかりやすい解説

発熱量
はつねつりょう
calorific value

単位重量の燃料が完全燃焼したとき発生する熱量をいう。

 石炭の発熱量は恒湿試料1グラムを断熱式ボンブ熱量計中で燃焼して、発生熱量を一定量の水に吸収させ、水の温度上昇より計算する。この発熱量を総発熱量または高発熱量gross calorific valueといい、これから、石炭中の水素から生成する水および本来含まれている水分の凝縮潜熱を引いたものを真発熱量または低発熱量net calorific valueという。石炭の場合には恒湿基準であるが、コークスの場合には無水基準で示す。

 航空ガソリン、灯油、軽油および重油の発熱量は、固体と同じくボンブ熱量計が用いられるが、試料量はボンブ内での放出熱量が6300~7000カロリーとなるよう調整する。軽油、重油など不揮発性試料では約0.6~0.7グラム、ガソリンなどの揮発性試料では0.4~0.5グラムをとる。

 燃料ガスの発熱量は流水型、静水型、爆発型などの熱量計が用いられるが、流水型がもっとも精度が高い。これは、一定流速の水に一定状態で燃焼するガスの燃焼熱を与えて、水の温度上昇とその流量およびガスの流量から総発熱量を計算する。ユンカース型熱量計が多用されている。

 発熱量は燃料の性能を表すもっとも重要な指標であり、褐炭亜瀝青炭(あれきせいたん)、瀝青炭区分JIS(ジス)(日本工業規格)では発熱量による(JIS M 1002-1978)。発熱量は1キログラム当り3万0560キロジュール未満を褐炭、同3万3910キロジュール未満を亜瀝青炭、それ以上を瀝青炭とする。燃料の商取引においては、単位発熱量当りで値段が決定される場合が多い。

[大内公耳・荒牧寿弘]

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改訂新版 世界大百科事典 「発熱量」の意味・わかりやすい解説

発熱量 (はつねつりょう)
calorific value

有機化合物,とくに燃料が燃焼するときに発生する熱量をいう。固体や液体の燃料ではその1kg,気体の燃料ではその1m3(正確にいえば0℃,1気圧,乾燥状態に換算して)が完全に燃焼したときに発生する熱量をkcalで表す。燃焼する化合物が水素を含むときには,燃焼反応によって水蒸気が発生するが,この水蒸気の蒸発潜熱(0℃で596kcal/kg)を含めない発熱量を真発熱量(または低発熱量)といい,水蒸気の蒸発潜熱を含む発熱量を総発熱量(または高発熱量)という。実際の燃焼施設では燃焼ガスの温度は100℃以上の場合が多く,水蒸気の潜熱は利用できないことになるので,真発熱量のほうが実用的である。液体や固体の燃料の発熱量の測定はボンブ熱量計を用いて行われるが,この場合に得られる値は総発熱量である。真発熱量は燃料の元素分析を行って水素含有量を求めて,補正する。ガスの発熱量の測定の場合は,水の生成量が直接測定できるので,総発熱量と真発熱量の両方が求められる。石炭の発熱量は5000~7000kcal/kg,石油製品の発熱量は1万~1万2000kcal/kgである。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「発熱量」の意味・わかりやすい解説

発熱量
はつねつりょう
caloric value; caloric power

燃焼熱ともいう。単位質量の物質が完全燃焼したときに出す熱量。たとえば 1kgの固体や液体,または0℃,1気圧に換算して 1m3の気体が完全に燃焼したときに発生する熱量をジュールで表わしたもの。食物の発熱量とは,食物が体内で完全に酸化分解をしたときに出す熱量をいう。

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