改訂新版 世界大百科事典 「オギノツメ」の意味・わかりやすい解説
オギノツメ
Hygrophila lancea (Thunb.) Miq.
本州中部以南,四国,九州から沖縄,台湾にかけて分布するキツネノマゴ科の多年草で,湿地に生える。オギノツメ属には世界の熱帯を中心に80種ほどが知られるが,どれも湿地を好むことが知られている。属の学名はHygrophyte(湿生植物)に由来する。
茎は四角形でやがて直立し高さ30~60cm。基部は横にはい,節から根を出す。葉は線状披針形で長さ5~10cm,幅0.5~1.5cm,ほとんど無柄で,ふちには全縁または波状鋸歯がある。秋に,小型の花が数個ずつ各葉腋(ようえき)に束生する。小苞は,線形で萼より短く長さ4~5mm。萼は長さ6~8mmで中ほどまで5裂する。花冠は淡紫色で長さ10~12mmで2唇形,上唇は浅く2裂し,下唇は3裂する。おしべは4本で内側の2本は短い。花糸は基部でつながる。果実は線形の蒴果(さくか)で12~17個の種子をいれ,熟すと2片に裂ける。種子は乾湿運動をする密な毛でおおわれる。葉や若芽が野菜として食用にされることがある。
執筆者:寺尾 博
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報