日本大百科全書(ニッポニカ) 「おしらさま」の意味・わかりやすい解説
おしらさま
東北地方に分布する家の神の信仰。茨城県などにもなくはないが、青森、岩手、宮城県北部などにことに濃厚である。オシンメ様(福島県)、オコナイ様(山形県)などともいわれる。多くは桑の木に、男女とか馬の顔を彫刻した長さ30センチメートルほどのものを布裂(ぬのきれ)で幾重にも覆っている。貫頭型と布を頭からかぶせた包頭型とがある。普通、神棚の祠(ほこら)に納めておくが、春秋の祭日に出して、神饌(しんせん)を供え供養し、またオシラアソバセをする。祭日は1月、3月、9月の16日である。昔は同族的な系譜を背景とする女性集団によって祀(まつ)られていたらしく、本家の老婆が祭文(さいもん)を読んだり、女の子がオシラサマを背負って遊ばせたりもした。これをオシラホロキとかオシラアソバセともいって、イタコが参与して行う場合も多い。「金満長者」「せんだん栗毛(くりげ)」などの祭文を語りながらオシラサマを一対(つい)両手にとって打ち振り、神がかりふうになりお託宣をする。
[萩原秀三郎]