オナガバチ(読み)おながばち

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オナガバチ」の意味・わかりやすい解説

オナガバチ
おながばち / 尾長蜂

昆虫綱膜翅(まくし)目ヒメバチ科の一群寄生バチ総称体長20~40ミリメートルの大形で、体よりも長い産卵管をもつのでこの名がある。体は赤褐色ないし黒褐色で、多数の黄色の斑紋(はんもん)がある美しいハチである。日本ではオオホシオナガバチ(別名モンオナガバチ)Megarhyssa japonica、オオアメイロオナガバチM. groliosa、ジョウザンオナガバチRhyssa jozana、シロフオナガバチR. persuasoriaなどが知られている。これらのオナガバチは木材害虫のキバチ類の幼虫に寄生する有益な天敵で、日本の林木生産に隠れた貢献をしている益虫である。シロフオナガバチの雌バチは、幹の表面から長い産卵管を突き立て、材中の坑道に潜むニホンキバチUrocerus japonicusの幼虫に産卵する。

[平嶋義宏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オナガバチ」の意味・わかりやすい解説

オナガバチ(尾長蜂)
オナガバチ

膜翅目ヒメバチ科の昆虫のうち,Megarhyssa属,Rhyssa属など,長い産卵管をもつものの総称。各種のキバチの幼虫に寄生する。体長 30~40mmで,大型のものを含む。触角,翅,肢部,腹部ともいずれも長い。オオホシオナガバチ M.japonicaは体長 30~40mm,赤褐色ないし黒褐色の体に鮮明な黄色の斑紋をもつ種で,前翅先端寄りに赤褐色紋をもつ。日本本土ならびに朝鮮半島,中国に分布。オオアメイロオナガバチ M.groliosaは体長 40mm内外で,赤褐色の体に不鮮明な黄色の斑紋をもつ。本州からサハリンまでに分布する。ほかにジョウザンオナガバチ R.jozanaや別属のオナガバチも知られる。これらは産卵管を材に突き立てて木材害虫のキバチの幼虫を探りあて,これに産卵するので,益虫となる。

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世界大百科事典(旧版)内のオナガバチの言及

【生物群集】より

…これを反映して,カワムツは昆虫食に著しくかたよった雑食,関東のオイカワは雑食,関西のオイカワは藻類食にかたよった雑食となっている。樹木の材を食うヒラアシキバチに寄生する3種のオナガバチの例になると,産卵管の長さは互いにほとんど重ならないぐらい違っていて,異なった深さの場所にいるキバチの幼虫をうまく分けて産卵する。どのようにしてこのような差が生じてきたかはまだ明らかになっていないが,近縁の種が共存する地域では,互いに著しく離れた形態を示す例はすでに多く見つかっており,こういう現象は一般に形質置換と呼ばれている。…

※「オナガバチ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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