おはこ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「おはこ」の意味・わかりやすい解説

おはこ
おはこ / 御箱
十八番

たいせつなものを箱に入れて保存する「箱入り」の略。「十八番」をあてるのは、江戸時代歌舞伎(かぶき)の市川宗家が得意芸「歌舞伎十八番(じゅうはちばん)」の台本を箱入りで保存したことに由来するといわれるが、一般に歌舞伎役者の得意な当り芸を「十八番」と称して秘蔵の芸としたことから、「十八番」とあてたとするのが妥当であろう。以来、寄席(よせ)芸人が得意とする芸目にも流用されて一般化し、この「とっておきの得意の芸」から転じて、その人のよくする動作口調の癖もいうようになった。

[棚橋正博]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のおはこの言及

【歌舞伎十八番】より

…7世団十郎は,1832年(天保3)3月に長男の海老蔵に8世団十郎を襲名させ,自身は海老蔵を名のると発表したときに配った刷り物に,初めて〈歌舞妓狂言組十八番〉と題して18種の名目を掲げた。その後,40年の《勧進帳》初演に際し〈歌舞伎十八番の内〉と口上看板に明記した〈十八番〉を〈おはこ〉と呼び,得意芸の意にもつかわれるようになったが,なぜ18の数に決めたかは明らかでない。団十郎の制定以前に,歌舞伎界では特別の演目を〈十八番〉と呼んでいたという説,また〈十八界〉〈十八般〉のごとき総称・代表の意によるものとの説,荒事の主人公の年齢との関係などと,まだ解釈は定まらない。…

※「おはこ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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