改訂新版 世界大百科事典 「オリュンピエイオン」の意味・わかりやすい解説
オリュンピエイオン
Olympieion
ギリシア,アテナイのアクロポリスの南東500mほどの所にある東西に長い広大な神域(129m×206m)に建てられた神殿。〈オリュンポスのゼウスの神殿〉の意。規模はギリシア本土最大,コリント式円柱を本格的に採用した最初の神殿である。円柱の基壇面41m×108mという横長のプランで,東西各8本3列,南北各20本2列,計104本の柱(高さ16.89m)をもつ。最初前515年ころ僭主ペイシストラトスの息子たちによってポロス材(多穴質の石材)のドリス式神殿として計画され,このときの二重周柱廊というプランやその規模は最後まで守られた。前174年世界統一を企てるシリアのアンティオコス4世がローマの建築家コッスティウスを雇用し,大理石材のコリント式神殿として建造を再開させた。現在残る南東隅の遺構はこのときのもの。最終的な完成はハドリアヌス帝による献堂式およびゼウスの黄金象牙像奉納のあった後132年のことである。
執筆者:福部 信敏
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報