軟体動物,頭足類のオルトケラス目を代表する属だが,一般にはオルトケラス目Orthoceratida全般をさす。直角石類ともいう。オルドビス紀に全盛をきわめ,以後三畳紀まで生存した。orthoは“まっすぐ”,cerasは“角(つの)”の意。オウムガイ亜綱の根幹をなすエレスメロケラス目Ellesmeroceratidaから早くもオルドビス紀初期に由来したグループで,オルトケラス類の初期のものからバクトリテス類Bactritida(アンモナイト亜綱や鞘形亜綱の先祖とみなされる)を生じた。殻の構造は単純で,ふつうはまっすぐに長い円錐形の殻をもち,断面はまるく,ほぼ中央に細い連室細管が通じている。この管が円筒状をなすものから管節のふくらんだものまである。内部は多くのわん状の隔壁で仕切られ,種類によっては連室細管がやや曲がっており,その壁に沿った部分や気房中に石灰質分泌物をもつ。表面装飾は細かい網状模様,波状細条,環帯,輪環,縦稜,縦溝,横溝など多様な種類がある。殻形が弓形のものや,長曲錐形ないし短直錐形のもの,壮年期に急に殻がふくれて背側に鞍状隔壁を生じ老年期には時に口が狭まるような種類もある。東アジアでは中国や朝鮮半島に産する。
執筆者:小畠 郁生
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