オルドビス紀(読み)おるどびすき(英語表記)Ordovician period

日本大百科全書(ニッポニカ) 「オルドビス紀」の意味・わかりやすい解説

オルドビス紀
おるどびすき
Ordovician period

古生代の2番目の地質時代カンブリア紀シルル紀の間の、約4億8540万年前から約4億4340万年前までの約4200万年の期間に相当する。オルドビス紀に形成された地層オルドビス系という。オルドビス紀の名称は、模式地のイギリス、ウェールズ地方に住んでいた古代民族の名にちなみ、ラプウォースCharles Lapworth(1842―1920)が1878年に命名した。無脊椎(むせきつい)動物では、三葉虫類、腕足類、頭足類のオウムガイ類が著しい発展を遂げた。黒色頁岩(けつがん)相に特徴的に産する原索動物門の筆石類(ふでいしるい)は、当紀のもっとも顕著な生物であり、コノドント動物とともに示準化石標準化石)として重要である。脊椎動物では、魚類甲冑魚(かっちゅうぎょ)が出現する。植物では藻類に加え、維管束植物遺体もわずかながら知られている。オルドビス紀の地層は、カンブリア紀の地層とともに、楯状地(たてじょうち)の周辺に広く分布し、東アジアでは、揚子江(ようすこう)、黄河両盆地、朝鮮半島北部が知られている。日本では、飛騨(ひだ)高地福地より、当紀に生息していたと考えられる放散虫、貝形虫化石が発見され、日本最古の地層が当紀まで及ぶことが確認された。北アメリカのアパラチア山地からスカンジナビア半島にかけての地域では、活発な火成活動が知られ、タコニック変動などの数回の地殻変動があった。オルドビス紀末には大規模な氷河が発達し海水面が下がり、浅い大陸棚の部分が減少し、三葉虫類、筆石類などの海生生物が大量絶滅した。

[小澤智生・渡辺耕造 2015年8月19日]

『リチャード・T・J・ムーディ、アンドレイ・ユウ・ジュラヴリョフ著、小畠郁生監訳『生命と地球の進化アトラスⅠ 地球の起源からシルル紀』(2003・朝倉書店)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「オルドビス紀」の意味・わかりやすい解説

オルドビス紀
オルドビスき
Ordovician Period

地質時代の年代区分の一つで,古生代で 2番目に古い。約 4億8540万年前から約 4億4340万年前までの期間にあたる。模式地はイギリス,ウェールズ北部で,旧民族のオルドビス族 Ordovicesにちなんで命名。1879年にチャールズ・ラプワースが,カンブリア紀シルル紀の間の時代として位置づけた。三葉虫類Olenus の絶滅と Ceratopyge の出現をもって,カンブリア紀との境界とする。オルドビス紀に入ると,石灰質の殻をもった層孔虫類,四射サンゴ(→ルゴースサンゴ類),床板サンゴ類腕足類オウムガイ巻貝類ウミユリ類のほか,ケイ質海綿,筆石類が急激に多数出現する。また脊椎動物の最初の化石として,魚類の歯,鱗片が発見されている。植物は藻類が多いが,シダ植物胞子も見つかっている。下部は砂岩,上部は石灰岩が多い。この年代には,高緯度の地方にも,温暖な気候があったといわれる。日本にはオルドビス紀の地層は知られていない。

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