改訂新版 世界大百科事典 「カイペル」の意味・わかりやすい解説
カイペル
Abraham Kuyper
生没年:1837-1920
オランダのカルバン主義神学者,政治家。1863年以後ベーストBeesd,ユトレヒト,アムステルダムで牧師。72年,創設まもない反革命党の機関誌《スタンダルトDe Standaard》(日刊)を創刊して編集長となり,同党を指導する。74年反革命党から下院議員に選出され,牧師を辞す。80年アムステルダムに自由大学を設立し,教授として厳格なカルバン主義神学を説いた(-1901)。94年再び下院議員となり,1901-05年カイペル内閣を組織したが,鉄道スト(1903)にあい,スト弾圧法を制定した。神学者としてオランダ改革派教会の近代主義を批判し,改革派教会から分離した再改革派教会Gereformeerde Kerkを創始し(1886),時代の精神的・社会的変化に対応するカルバン主義神学を築こうと努力した。反革命党の指導者としては,スハープマンの率いるカトリック党などの宗派政党とともに,自由党および労働党に対抗して保守的立場をとり,オランダの政治に宗派諸政党と非宗派諸政党の対立という枠組を設定した。
執筆者:栗原 福也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報