日本大百科全書(ニッポニカ) 「カッパドキア洞窟修道院」の意味・わかりやすい解説
カッパドキア洞窟修道院
かっぱどきあどうくつしゅうどういん
トルコのアナトリア高原の南東部にあるカッパドキア地方には凝灰岩が侵食されてできた数千の奇岩が連なっているが、それを掘り抜いてつくられた修道院や聖堂をさす。これらがつくられたのは4世紀に入ってからのことらしいが、その最盛期は11世紀といわれる。現在のギョレメ、ゼルベ、チャプシン、ソアンルーにとくに多いが、内部は多く素朴な壁画で飾られ、幾世紀にもわたっているその遺跡は美術史上も注目されている。この地方は、4世紀後半東方におけるキリスト教的思想や修道制の発展に大きな役割を演じ、「カッパドキア三星」とうたわれた三教父たちの故郷であったことも、これら修道院の叢生(そうせい)を促すに力あったであろう。
[今野國雄]