改訂新版 世界大百科事典 「カツモウイノデ」の意味・わかりやすい解説
カツモウイノデ
Ctenitis subglandulosa(Hance)Ching
オシダ科の常緑多年生シダ植物。しばしばシイ-タブ林内に優占的な群落をつくる。根茎は斜上から直立し,大型の葉を数枚,叢生(そうせい)する。葉は五角状卵形で,3~4回羽状複生。中軸や羽軸には褐色の鱗片が圧着気味につくが,葉柄基部のものは線形で長く,黄褐色から赤褐色で,ふさふさとした束になる。これから褐毛イノデの和名が由来した。胞子囊群は小さく,裂片のやや中肋寄りにつき,辺縁が細裂した包膜につつまれる。紀伊半島以西の暖地に生じ,亜熱帯要素に近いが,多雨域には少ない。台湾から中国南部に分布している。近縁種に小笠原諸島特産のキンモウイノデなどがあり,カツモウイノデ属Ctenitis全体としては約150種が新旧両世界の熱帯を中心に分布している。
執筆者:光田 重幸
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報