カニムシ類(読み)カニムシるい(その他表記)Pseudoscorpiones; false scorpion

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カニムシ類」の意味・わかりやすい解説

カニムシ類
カニムシるい
Pseudoscorpiones; false scorpion

クモ綱カニムシ目に属する種類の総称体長 8mm以下。頭胸部に1対の鋏角と触肢,4対の歩脚がある。触肢が長大な鋏になっていて外形サソリ類に似るが,腹部が長卵形で尾部がない。森林の落葉土壌の湿った場所,石の下,洞穴樹皮の下などに生活するが,このような潜伏的な生活と,微小であること,地味な褐色であることなどから人目につきにくい。一般に肉食で,コムカデ,クモ,アリなどを捕食する。サソリ類と同様に求愛ダンスをし,雄が雌の触肢をつかんで踊り,精包を雌の生殖口に受入れさせる。雌の腹面についた育嚢 (いくのう) から出た第1若虫は3回脱皮を繰返して成虫になる。寿命は1~2年。世界に約 3000種,そのうち日本産は約 70種。森林土壌にはメクラツチカニムシ Mundochthonius japonicus,カギカニムシ Microcreagris japonicus,海岸の岩の裂け目にはイソカニムシ Garypus japonicus,樹皮下にはトゲヤドリカニムシ Haplochermes boncicusなどがみられる。

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