ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「サソリ類」の意味・わかりやすい解説 サソリ類サソリるいScorpiones; scorpion クモ綱サソリ目に属する種類の総称。体長は 0.1~18cm,西アフリカ産のダイオウサソリ Pandinus imperatorが最大種である。体の前体 (頭胸部) には4対の歩脚と強大な鋏をもつ触肢がある。後体 (腹部) は7節から成る太い前腹と5節から成る細い後腹に区別される。後腹の先には毒腺のある尾節があり,鉤状の毒針がついている。熱帯,亜熱帯地域に広く分布し,世界に9科約 1200種が知られている。高い気温でないと生活できないが,湿度に関しては,湿った森林の中にすむものと,反対に乾燥地や砂漠を好むものとがある。昼間は石や落ち葉の下に隠れているが,夜間活動して昆虫類やクモなどを捕食する。サソリの婚姻ダンスは有名で,雌雄は頭を突き合せて触肢をつかみ合い,後腹部を高く持上げて前後左右に歩く。雄はダンスをしながら精子の入った精包を地面に置き,雌の生殖門がその位置にくるように雌を引張ってくる。雌は生殖門を開いて精包を取入れる。メキシコ,南ヨーロッパ,アフリカには猛毒をもつ種が数種知られているが,多くのサソリの毒はそれほど強くはない。日本では,マダラサソリ Isometrus europaeusとヤエヤマサソリ Liocheles australasiaeの2種が宮古・八重山諸島にみられ,前種は小笠原諸島でも発見されている。外来種がときおり神戸や横浜港で船荷にまぎれこんで見つかることがあるが,定着することはない。原始的な動物で,古生代シルル紀の地層から化石が出土する。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by