山川 世界史小辞典 改訂新版 「カフカース戦争」の解説
カフカース戦争(カフカースせんそう)
北カフカースのダゲスタン,チェチェンの地で続いていた山地民族の抵抗に対して,ロシア帝国軍は1816年から平定作戦を開始した。山地民族側はミュリディズムと呼ばれるイスラームの信仰によって結束して,政治的・宗教的指導者イマームに指導された。34年にシャミーリがイマームとなって,北西カフカース全域を掌握した。苦戦を続けたロシア軍側では44年にヴォロンツォフが総司令官となり,態勢を挽回した。51年には有力な将軍ハジ・ムラートとシャミーリの間に対立が生じ,ハジ・ムラートがロシア軍側に投降した。クリミア戦争が終わると,ロシア軍は攻撃を強め,57年チェチェンに突入し,翌年降伏させた。59年4月シャミーリの本拠地が陥落し,8月シャミーリはついに降伏した。61年カフカースは平定された。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報