ダゲスタン(読み)だげすたん(英語表記)Дагестан/Dagestan

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダゲスタン」の意味・わかりやすい解説

ダゲスタン
だげすたん
Дагестан/Dagestan

ロシア連邦に属する共和国。ロシア南西部に位置し、カスピ海西岸に面する。面積5万0300平方キロメートル、人口211万9000(1999)。ダゲスタンチュルク語(トルコ系諸言語)で「山の国」を意味し、特定の民族名とは無関係(ただし、多民族国家ダゲスタンの国民=ダゲスタン人の意味でも使われる)。首都はマハチカラ(1857~1922年はペトロフスク・ポルトПетровск-Порт/Petrovsk-Portと称した)。人口33万4900(1999)。

[上野俊彦]

沿革

1813年ロシア領に編入されたが、1817~64年のカフカス戦争の過程でミュリディズムイスラム神秘主義と反ロシアを唱える過激派運動)をスローガンとする山岳民の運動に席巻(せっけん)された。1921年ロシア連邦社会主義共和国に属するダゲスタン自治ソビエト社会主義共和国Дагестанская АССР/Dagestanskaya ASSRが設立され、以後70年間存続したが、ソ連崩壊(1991年12月)直前の91年5月ダゲスタン共和国Республика Дагестан/Respublika Dagestanとなった。

[上野俊彦]

国土

国土の北部低地南部は大カフカス山脈北東側斜面の山地丘陵からなり、東部はカスピ海に面し、南はアゼルバイジャン共和国との国境である。平均気温は1月平地で1℃、山地で零下11℃、7月平地で24℃。年降水量は200~800ミリメートル。

[上野俊彦]

住民・言語

この地域は世界有数の多言語・多民族地域であり、1989年国勢調査による民族構成は、アバール人(49万6077、27.5%)、ダルギン人(28万0431、15.6%)、クミク人(23万1805、12.9%)、レズギン人(20万4370、11.3%)などのダゲスタン諸民族(80.2%)とロシア人(16万5940、9.2%)、その他周辺国の民族などである。アバール人、ダルギン人、レズギン人の言語はダゲスタン諸言語、クミク人の言語はチュルク語(トルコ語系)である。ダゲスタン諸民族の宗教は多くがイスラム教スンニー派である。

[上野俊彦]

産業

おもな工業は、石油・天然ガス採掘、機械・金属加工(分離機、熱処理・電気機器、小型機械、機械部品、工作機械、掘削機、船舶修理)、食品加工(果実・野菜缶詰、水産加工、ワイン醸造)、化学(燐塩、グラスファイバー、ラッカー塗料)、軽工業(毛織物、綿織物、製靴)、建築資材生産。鋳物工業、じゅうたん製造などの伝統産業がある。農業では、小麦、トウモロコシ、大麦、イネ、ヒマワリ、野菜、果樹、ブドウの栽培、ヒツジの牧畜が盛んである。

[上野俊彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

お手玉

世界各地で古くから行われている遊戯の一つ。日本では,小豆,米,じゅず玉などを小袋に詰め,5~7個の袋を組として,これらを連続して空中に投げ上げ,落さないように両手または片手で取りさばき,投げ玉の数や継...

お手玉の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android