日本大百科全書(ニッポニカ) 「カラスヨトウ」の意味・わかりやすい解説
カラスヨトウ
からすよとう / 烏夜盗
[学] Amphipyra livida
昆虫綱鱗翅(りんし)目ヤガ科に属するガ。前翅(ぜんし)はやや光沢のある黒褐色で斑紋(はんもん)がなく、後翅は黄褐色。はねの開張は約50ミリメートル。ヨーロッパから日本までユーラシアの温帯に分布する。日本各地に普通。成虫は7月ごろに羽化し、盛夏のころは、枯れ木の樹皮下などに潜み、しばしば集団化して夏眠する。体の構造がやや腹背に扁平(へんぺい)なことが、この習性に適した形態とみなされる。秋の遅い時期に産卵し、幼虫は初夏のころ各種の樹木や低木の葉を食べる。和名の語尾のヨトウというのは、元来、夜行性の幼虫の習性に由来するが、現在ではヤガ科のなかの一群の総称として広く使われており、本種の習性とは合致しない。
[杉 繁郎]