語尾(読み)ゴビ(その他表記)ending
suffix

デジタル大辞泉 「語尾」の意味・読み・例文・類語

ご‐び【語尾】

話し言葉で、ひと続きの言葉の終わりの部分。「語尾がはっきりしない」⇔語頭
単語末尾の部分。「英語の複数形は語尾にsを付けて示す」
文法用語で、活用語が他の語に続いたりする場合に、語形を変える部分。「読む」の「む」、「長い」の「い」などの類。活用語尾。⇔語幹
[類語]語末

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「語尾」の意味・読み・例文・類語

ご‐び【語尾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 語録など著書の末尾。
    1. [初出の実例]「比見康穆菴語尾書郊台何也」(出典:空華日用工夫略集‐至徳元年(1384)一二月二日)
  3. 談話中で、一つづきのことばの終わりの部分。文末。言葉尻(ことばじり)
    1. [初出の実例]「発語に『モノ』『ゲーニ』の冠辞を置き、或は語尾(ゴビ)に『デスカラ』『バッテン』の添辞を付し」(出典:造化妙々奇談(1879‐80)〈宮崎柳条〉二)
  4. 単語の末尾の一、二音節。⇔語頭
  5. 国語で、活用する語の変化する部分。活用語尾。⇔語幹
    1. [初出の実例]「いかにして言語は存在するか、何故に語根、語尾の差が生じて来るか」(出典:国語のため(1895)〈上田万年〉言語学者としての新井白石)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「語尾」の意味・わかりやすい解説

語尾 (ごび)
ending
suffix

言語学の用語。語根語幹に後接して語幹や単語を形成する。接尾辞と呼んでもよい。これには,それがつくと語幹(もしくは無活用の単語)が形成されることになる派生語尾と,単語の活用形が形成されることになる活用語尾とがある。派生語尾には常になんらかの意味が伴うといえるが,活用語尾にはなんらかの意味を伴うものとそうでないものがある。たとえば,日本語のkawakasanai(乾かさない)は,語根kawak-に派生語尾-as-がついてkawakas-という語幹が形成され,さらに活用語尾-a-がついて活用形ができ,付属語-naiがさらにつづいているといえる(1モーラを全体として扱い,その内部で切り離すことをしない考え方では,kawa-,-ka-,-sa-,-naiと分析する)が,-as-はある種の意味を伴い,-a-は伴わないといえる。しかし,kawakaseの活用語尾-e(または-se)は,意味を伴っている。派生語尾は,その単語の文法的機能を決定することも多い。たとえば,amai〈甘い〉のama-に-saという派生語尾がつくとamai(形容詞)とは異なる機能(名詞としての機能)をもつようになる。なお,派生語尾がついてできあがった語幹や単語が長い時間を経過すると,その語尾の意味が不明瞭になり,語尾といえるかどうかわからなくなる場合もある。なお,接尾辞は語幹または語根の前に付着する接頭辞真ん中に割ってはいる接中辞などとともに接辞と総称する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「語尾」の意味・わかりやすい解説

語尾
ごび

用語や助動詞が語形を変えて種々の用法を示すとき、変化する部分を活用語尾、または単に語尾という。たとえば、「毎朝新聞を読む」と「新聞を読め!」との用法の違いは、「―む」「―め」という語尾の違いによって示される。語尾に対し、不変化の部分が語幹とよばれる。どこで語幹と語尾を分けるかは、研究者の考え方や整理の仕方で変わってくる。仮名で分析すれば、「読む」の語尾は「―み」「―む」などであるが、ローマ字で分析すれば、「(yom)―i」「(yom)―u」などとなる。

 文語形容詞の場合、たとえば「美し」では、不変化の部分は「うつくし」であるが、それを語幹とすると終止形の語尾がなくなるので、「うつく」を語幹とし、「(美)」「(美)しき(人)」などを語尾とする。なお、「さかや(酒屋)」「あまがさ(雨傘)」などの場合は、「さけ」「あめ」の語尾変化とはせず、語基の変化と考える。

[鈴木英夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「語尾」の意味・わかりやすい解説

語尾
ごび
ending

語幹に接合して,その単語の文法的機能の大部分をになう言語要素をさす。語幹は語根がそのままなる場合と,語根に接尾辞がついたものである場合とがある。 kak-u「書く」,kak-ase-ru「書かせる」において,-u,-ruが (活用) 語尾,-ase- が接尾辞,前者の kak- は語根かつ語幹,後者の kak- は語根と分析される。一般に語形替変は,語尾の形を替えることによって行われる。文法的意味は大部分が語尾によって表わされるが,kak-uの他動詞という特徴は,語幹にあるとみなければならない。なお語尾と接尾辞を特に区別しないで扱う場合もある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア 「語尾」の意味・わかりやすい解説

語尾【ごび】

単語の末尾の部分。活用によって交替する部分は活用語尾という。屈折語では名詞,形容詞,代名詞の格語尾,動詞の人称変化にみられる。また時に接尾辞(接辞)をさす。
→関連項目語根

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android