カラテペ(その他表記)Karatepe

改訂新版 世界大百科事典 「カラテペ」の意味・わかりやすい解説

カラテペ
Karatepe

トルコ中部地中海寄りにある後期ヒッタイト時代の遺跡。アザチワタAzatiwata王が前8世紀に建設した城砦都市アザチワタヤAzatiwatayaである。ここでヒッタイト象形文字と,同じ内容のフェニキア文字とからなる碑文が1946年に発見され,47年に報告された。そのためヒッタイト象形文字解読への期待が高まったが,まだ解読されていない。南北350m,東西200mの,内城壁が不整形卵形に巡らされ,北東南西にそれぞれ門を設けてある。双方の門ともに獅子像とスフィンクス像および特徴的な壁面装飾であるオルトスタットを備えていて,右側に象形文字,左側にフェニキア文字を刻んである。内城壁の内部では宮殿址,神殿址と推測された遺構が確認されているが,発掘調査は部分的で都市の全体像は不明。カラテペというのはトルコ語で〈黒い丘〉の意味で,トルコから中央アジアにかけて同じ名称の遺跡がかなり存在する。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カラテペ」の意味・わかりやすい解説

カラテペ
Karatepe

トルコ東南部のタウロス山麓に位置したヒッタイト王国後期の古代城塞都市。前 700年頃アッシリアに攻略された。 1945年 H.ボッセルトによって象形文字とフェニキア語の対訳碑文が発見され,ヒッタイト文字ヒッタイト語の解読が促進された。カラテペとは黒い丘の意。

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世界大百科事典(旧版)内のカラテペの言及

【仏像】より

… 西トルキスタン(ソ連領中央アジア)では近年急速に発掘が進んでいるものの,未解明なところが少なくない。オクソス川(アム・ダリヤ)北岸のカラテペやファヤズテペではクシャーナ朝治下の2~4世紀に石灰岩や塑土を用いてガンダーラ風の仏像が製作された。7~8世紀のアジナテペやクバ出土の塑造彫刻はアフガニスタンの末期のそれと共通するところが多い。…

※「カラテペ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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