日本大百科全書(ニッポニカ) 「カルバリ」の意味・わかりやすい解説
カルバリ
かるばり
Calvary
エルサレム城外の、イエス・キリストが十字架にかけられた丘の名。本来の呼び名はゴルゴタ(アラム語のgulgōthā'「頭蓋骨(ずがいこつ)」の意)で、そのラテン語訳がカルバリアcalvaria。由来については、(1)丘の形状から、(2)処刑場を象徴する、(3)刑死者の骨が晒(さら)されていた、(4)ここにアダムの頭骨が埋まっているため、などの憶説がある。『新約聖書』によれば、キリストは裁判ののち、十字架を背負わされてこの丘まで引き立てられ、2人の犯罪者とともに処刑された(『マルコ伝福音書(ふくいんしょ)』15章22ほか)。しかしその位置は、当時のエルサレム城外であろうというほかは不詳。現在の旧市街の聖墳墓教会がカルバリの跡と伝えられるが、ダマスカス門外の「ゴルドンのカルバリ」(提唱者の名にちなむ)も有力な候補地とされている。
[清重尚弘]