カワリミズカビ(英語表記)Allomyces

改訂新版 世界大百科事典 「カワリミズカビ」の意味・わかりやすい解説

カワリミズカビ
Allomyces

鞭毛菌類ツボカビ綱コウマクノウキン科の代表的な腐生性の水生菌類。菌糸は二叉(にさ)分枝の先端に遊走子囊ができ,同時にこの菌群の特徴である厚膜囊ができる。厚膜囊は倒卵形で黄赤色~煉瓦色で耐久性があり,耐乾燥性が強い。数ヵ月風乾したものでも水に入れると発芽して,無性的に遊走子を生ずる。遊走子囊,あるいは発芽した厚膜囊から泳ぎ出た遊走子は,(1)発芽してできる菌糸に大小対になった配偶子ができ,接合して世代交代するもの,(2)被膜してから動配偶子を生じ,接合するもの,(3)発芽してもとの栄養体となるものの3型をとる。土壌,たんぼなどに普通にみられる。代表種はA.arbuscula Butler,A.neo-moniliformis Indoh,A.javanicus Kniepなどがあり,容易に培養ができる。雌性配偶子が雄性配偶子を誘引するホルモン物質が見いだされ,サイレニンsireninと名付けられている。近縁の属にBlastocladiellaがある。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カワリミズカビ」の意味・わかりやすい解説

カワリミズカビ
Allomyces

藻菌類ブラストクラディア目の水生菌。水中アサの実などに培養すると,長さ 8mmぐらい,二叉に分岐を繰返して房状になる。菌糸の先端に数個の遊走子嚢を鎖生し,中から後端に単毛をもつ遊走子が泳ぎ出す。乾田に広く分布する。なおこの菌糸には厚膜嚢という膜に孔紋をもった器官を生じ,これはのちに裂けて中から別の遊走子嚢が顔を出して,遊走子を送り出す。この遊走子が伸びて生じた菌糸に雄,雌の器官を生じ,有性生殖を行う。雄性は紅色の小配偶子嚢で小配偶子を,雌性は無色の大配偶子嚢で大配偶子を生じ,両配偶子は水中で運動中に接合する。

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