カンケラリウス

大学事典 「カンケラリウス」の解説

カンケラリウス[羅]

ローマ時代の法務職に由来するが,中世以降に多様化し,現代でも法務,外務などさまざまな職務担当者の名称となっている。英語のチャンセラー(chancellor),フランス語のシャンスリエ(chancelier),ドイツ語のカンツラー(Kanzler)はこの語に由来する。大学に関しては,中世大学の草創期から重要な役割を果たしてきた。パリ大学(フランス)の場合,元来スコラスティクス(scolasticus)と呼ばれた司教権内の教師職が地位を上昇させて文教監督官であるカンケラリウスの地位に昇り,教授資格の認定権を行使するようになった。これに対して,オックスフォード大学(イギリス)でも当初は司教座のカンケラリウスが大学に対する裁判権を行使して監督したが,抗争を経てこの職務は教会から大学の手中に移り,大学を代表するものとなった。ボローニャ大学(イタリア)では,司教座の助祭長がその役割を果たした。オックスブリッジの伝統から英語圏では,プレジデントなどを使用するアメリカ合衆国を除いて,学長,副学長,管理部門の長などの名称として使用されてきた。
著者: 児玉善仁

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android