ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説
カージー・サイード・アル・クンミー
Qāzī Sa`īd al-Qummī
[没]1691
イランの十二イマーム・シーア派の神学者として多くの著作を残している。スフラワルディーの照明思想の影響のもとに,イスラム教の伝承と神秘主義的世界観との関係を確立することに努めた。彼の思想において特に注目すべきものは,その時間論である。すなわち神的世界に非時間的永劫の存在を主張し,一方現象界における存在者に固有の時間の存在を認める。その場合,存在者に固有な時間の量はすべて一定であるが,個々の存在者に応じて時間が「濃密」であったり「希薄」であったりするという考え方である。主著『楽園の鍵』 Kelīde behesht。
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