スフラワルディー(読み)すふらわるでぃー(英語表記)Abū af‘Umar al-Suhrawardī

日本大百科全書(ニッポニカ) 「スフラワルディー」の意味・わかりやすい解説

スフラワルディー(Shihāb al-Dīn Yayā al-Suhrawardī)
すふらわるでぃー
Shihāb al-Dīn Yayā al-Suhrawardī
(1155―1191)

イスラムの神秘哲学者。イランのスフラワルドに生まれる。鋭い知性により大胆に秘教的教説を説いたことが周囲の法学者たちの反感を買い、シリアアレッポで投獄され獄中で没した。彼の教説はヘルメスに始まり、エジプトギリシア、イランの諸賢人に伝わった叡知(えいち)を再統合したものであるとされ、照明哲学(ヒクマト・イシュラーク)とよばれる。宇宙万物の構造を至高の光に基づく濃淡強弱の光の階層としてとらえ、また独自の天使論を展開する。主著に『照明哲学』があり、モッラー・サドラーをはじめとし後世に大きな影響を与えた。

鎌田 繁 2016年10月19日]


スフラワルディー(Abū af‘Umar al-Suhrawardī)
すふらわるでぃー
Abū af‘Umar al-Suhrawardī
(1145―1234)

バグダードで活躍した中世イスラムの神秘家(スーフィー)。伝統を重んじる正統的スーフィーとして知られ、スーフィズムの綱要書『真知の贈り物』(『アワーリフ・マアーリフ』)を著し、神秘家のさまざまの実践や理論を、コーランスンナ(預言者ムハンマドの範例)、そして初代の信者たちの教説や規範に即して解説した。スーフィー教団の一つ、スフラワルディー教団の創立者は彼の叔父のスフラワルディーAbū al-Najīb al-Suhrawardī(1097―1168)である。

[鎌田 繁 2018年4月18日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「スフラワルディー」の意味・わかりやすい解説

スフラワルディー
al-Suhrawardī, Shihāb al-dīn Yaḥyā

[生]1155頃.スフラワルド
[没]1191. アレッポ
ペルシアの神秘主義哲学者。イスラム内部にありながら,存在を光とみなし,それを古代ペルシアのゾロアスター教の教義とプラトン的イデア論によって弁証しようとした。英知界と感覚世界の中間に想像界をおき,これにより神秘的経験が説明されると考えた。異端的思想のゆえに当時のイスラムの正統派ウラマーに受入れられず,サラーフ・ウッディーンに殺された。その影響は東方イスラムに残り,のちにイスファハン学派では主流を占め,またアビセンナ主義と結びついて,シーア派の教義にも取入れられた。

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