日本大百科全書(ニッポニカ) 「カーンバイラー」の意味・わかりやすい解説
カーンバイラー
かーんばいらー
Daniel Henry Kahnweiler
(1884―1979)
ドイツ生まれのフランスの美術商、美術評論家。銀行家の息子で、株式取引所の所員となってパリに出た(1902)が、株式取引の仕事をしながら熱心に美術を研究し、1907年パリで画廊を開いた。初めドラン、ブラマンクなど野獣派の作品を扱ったが、ブラック、ピカソ、レジェ、グリスら立体派の作品も扱うようになり、優れた鑑識眼を生かして、これらの画家と独占契約を結び画商として成功した。第一次世界大戦中はドイツ人であるため、敵性財産として所蔵作品を没収され、スイスに引きこもったが、戦後パリでふたたび画廊を始め、クレーとも契約した。評論活動も盛んに行い『立体派への道』、『ブラマンク』、『ドラン』(1920)、『グリス』(1928)、『ピカソの彫刻』(1949)、『パウル・クレー』(1950)など著書も多い。
[鹿島 享]