ガラスの構造(読み)ガラスノコウゾウ

化学辞典 第2版 「ガラスの構造」の解説

ガラスの構造
ガラスノコウゾウ
structure of glass

ガラス内部の原子的配列のこと.X線,電子線回折,赤外吸収,ラマンスペクトル,NMR,ESRなどを利用しても一義的な解が得られないので,もっとも研究の進んでいる酸化物ガラスについてさえ不明な点が多い.酸化物ガラスについては,W. Zachariasen(1932年)が網目形成酸化物の酸化物イオン配位数(3または4),酸化物イオンに対する陽イオンの配位数(2),網目形成は酸素多面体の隅の連結で行われる,などの生成条件を提唱し,B. Warren(1934年)らがX線回折によってこれを裏づける見解を発表して,三次元の無規則網目構造説が先行し,現在に至るまで大きな影響力をもっている.この説では,網目修飾陽イオンは網目の間に統計的に配置している.これとほぼ対立するものとして,古くはW. Turner(1933年)あたりから,ガラスを一種の微視的混合物としてとらえようとする考え方がある.この混合単位はE.A. Porai-Koshits(1936年)らによると微結晶であり,森谷(1950年)によると非晶質である.そして,たとえばNa2O-SiO2系で,J. Bockris(1955年)らが (Si32O68)8- などの原子集団の存在を提案し,M2O-SiO2系ガラスについてのX線回折の結果から,C. Brosset(1958年),S. Ohlberg(1965年),M. Milberg(1969年)らが,それぞれ網目修飾イオンの配列にある程度の規則性を認めるなどして,M2O/SiO2 = 0.5~1.0の組成範囲では,単純な無規則網目構造説は支持を失いつつある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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