キザミ(読み)きざみ

改訂新版 世界大百科事典 「キザミ」の意味・わかりやすい解説

キザミ(刻) (きざみ)

(1)能の大鼓の打音名。小さく打った,弱いが響く音。流派によっては〈甲(かん)〉と呼ぶ。〈ツ〉と唱えられ,譜面上では〈▲〉または〈・〉と記される。(2)能や長唄太鼓の手組名。弱く打った撥(ばち)でそのまま革をおさえる奏法で,1句すべてを打つ。右撥は拍に当たり,左撥は半間に当たるので,打音はすべてで16となる。基本の手組の一つ。(3)歌舞伎の演出用語。1場面の幕開き幕切れの,幕の開閉に打つ拍子木の打ち方。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のキザミの言及

【歌舞伎】より

…歌舞伎は,舞楽,能,狂言,人形浄瑠璃などとともに日本の代表的な古典演劇であり,人形浄瑠璃と同じく江戸時代に庶民の芸能として誕生し,育てられて,現代もなお興行素材としての価値を持っている。明治以後,江戸時代に作られた作品は古典となり,演技・演出が〈型(かた)〉として固定したものも多いが,一方に新しい様式を生み出し,その様式にもとづいた作品群を作りつづけてきた。また,古典化した作品の上演にも新演出を試みるなどの方法によって,全体としては流動しながら現代に伝承され,創造がくり返されている。…

※「キザミ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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