日本大百科全書(ニッポニカ) 「キビレマツカサ」の意味・わかりやすい解説
キビレマツカサ
きびれまつかさ / 黄鰭松毬
yellowfin soldierfish
[学] Myripristis chryseres
硬骨魚綱キンメダイ目イットウダイ科に属する海水魚。和名は各ひれが黄色であることに由来する。静岡県以南の太平洋岸、沖縄県沖、インド洋、太平洋に分布する。前鰓蓋骨(ぜんさいがいこつ)の下端の角部に棘(とげ)はなく、臀(しり)びれの軟条は10本以上あることでアカマツカサ亜科に属す。体は側扁(そくへん)して、体高はやや高い。体は硬くて、表面がなめらかな鱗(うろこ)で覆われる。口を閉じると下顎(かがく)の前端はわずかに突出し、下顎端にある1対の歯塊が上顎の切れ込みに納まる。臀びれの第3棘(きょく)は第4棘より長くて強い。側線鱗(そくせんりん)数は32~38枚(普通は34枚)。胸びれの腋部(えきぶ)には小鱗がない。体は赤く、各鱗の中央部は淡色。主鰓蓋骨は淡色で、鰓蓋膜は主鰓蓋骨棘の下方まで黒い。胸びれの腋部は黒い。背びれ軟条部、臀びれ、腹びれおよび尾びれは一様に鮮黄色。最大体長は26センチメートルほどになることもあるが、普通は20センチメートルほどである。水深30メートル以深にすみ、日中は岩の岩穴や割れ目に隠れている。
[尼岡邦夫 2016年8月19日]