改訂新版 世界大百科事典 「キュジャス」の意味・わかりやすい解説
キュジャス
Jacques Cujas
生没年:1522-90
フランス人文主義法学の代表者の一人。ラテン名クヤキウスJacobus Cujacius。トゥールーズに毛織物仕上工の息子として生まれ,アルチャートの弟子フェリエに法学を学び,独学で人文主義的知識を修得した。ローマ法を講じてトゥールーズ,ブールジュ,バランス,トリノ等の諸大学を転々と移ったが,ブールジュには4度赴任し,この地に没した。カトリック教徒であるが新・旧教いずれの側にも積極的に関与せず,法学の非宗教的性格を強調。ローマ法大全中の諸法文を言語学的・歴史学的方法により批判的に検討し,その本来の意味や文脈を回復することに努めた。業績は膨大かつ多種にわたるが,《考察および修正Observationum et emendationum》28巻(1556-95)が代表作である。
執筆者:佐々木 有司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報