トゥールーズ(読み)とぅーるーず(英語表記)Toulouse

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トゥールーズ」の意味・わかりやすい解説

トゥールーズ
とぅーるーず
Toulouse

フランス南西部、オート・ガロンヌ県の県都。パリ、マルセイユリヨンに次ぐフランス第4位の都市。人口39万0350(1999)、47万1941(2015センサス)。アキテーヌ盆地地中海の中間に位置し、ガロンヌ川が市内を貫流する。地中海とはミディ運河大西洋とはガロンヌ運河で結ばれている。古くから交通の要地として栄え、現在は行政、文化、宗教、商業の中心地で、とくに第三次産業が発達している。商業ではアキテーヌ盆地の農産物の取引地として重要である。工業は、アキテーヌ地方の炭田ピレネー山脈水力発電、サン・マルセやラックの天然ガスを利用して、第一次世界大戦後から発達した。金属、繊維、製紙、機械、化学などの工業が発達したが、とりわけ航空機工業の発展が著しい。航空機工業は第二次世界大戦後の工場の地方分散政策によって発達したもので、フランスばかりではなく、西ヨーロッパの航空機工業の中心地でもある。国立航空学校、宇宙工学研究所も置かれている。

 歴史的建築物が多く、トマス・アクィナスの墓があるサン・セルナン教会はフランス最大のロマネスク様式バシリカで、11~14世紀の建造。ほかにゴシック様式サンテティエンヌ大聖堂(11~17世紀)、ゴシックジャコバン教会(13~14世紀)、18世紀ルネサンス建築のカピトール、1229年創立の大学などがある。

[青木伸好]

歴史

紀元前2世紀末、ケルト系テクトサゲス人の首邑(しゅゆう)をローマ人が従属させ、属州都市として、トロサTolosaとよんだ。3世紀にはキリスト教が布教され、初代司教聖セルナンは252年に殉教している。5世紀初めにバンダル人の寇掠(こうりゃく)を受け、ついで西ゴート王国の首府となったが、508年にフランク王クロービス1世により征服された。メロビング時代、カロリング時代を通じてしばしばアキテーヌ地方を統轄する従属公領や分王国の首府となった。封建時代はトゥールーズ伯の支配下に商工業の発展、自治制度の発達がみられたが、アルビジョア十字軍の南仏征服によりカペー朝の勢力が進出し、1271年に王領に合併された。中世末期から16世紀にかけては大学の発展、高等法院の設置がみられ、経済的、文化的にも繁栄したが、17、18世紀には停滞した。革命期の1799年の市民軍による王党派蜂起(ほうき)の撃破、1815年の王党派テロル部隊による市総督殺害、1871年の急進的共和派によるコミューン設立などの事件は歴史上有名。

[江川 温]

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