日本大百科全書(ニッポニカ) 「クシヒゲムシ」の意味・わかりやすい解説
クシヒゲムシ
くしひげむし / 櫛角虫
昆虫綱甲虫目クシヒゲムシ科Rhipiceridaeとホソクシヒゲムシ科Callirhipidaeに属する昆虫の総称。世界におよそ200種ほど分布しており、日本では各2種が知られる。体長12~30ミリメートル前後。前記の両科とも、両性が強く櫛(くし)状に分枝した触角をもつが、前科が脚(あし)の跗節(ふせつ)に葉片を備えるのに、後科ではそれがない。体形は、前科の種は比較的ずんぐりしているが、後科では長くて両側が平行している。前科のクチキクシヒゲムシSandalus segnisは、黒くて上ばねが褐色。6月ごろ広葉樹の周辺を飛び、雌は枯れ木に産卵し、幼虫は地中に入りセミの幼虫に寄生する。また、後科のムネアカクシヒゲムシHoratocera nipponicaは、前胸だけ赤いか、全体黒いか、または赤褐色。体は長くて両側が平行し、夏にみられ、幼虫は朽ち木内に食い入る。いずれも本州、四国、九州の山地に産する。
[中根猛彦]