日本大百科全書(ニッポニカ) 「クダヤガラ」の意味・わかりやすい解説
クダヤガラ
くだやがら / 管矢柄
管簳魚
Japanese tube snout
[学] Aulichthys japonicus
硬骨魚綱トゲウオ目クダヤガラ科の海水魚。体が著しく細長く、吻(ふん)が管状であることからこの名がある。本州中部以北の太平洋沿岸、瀬戸内海および日本海沿岸各地、朝鮮半島東岸に分布する。側線上に棘(とげ)状となった多数の隆起骨板が一列に並ぶ。背びれの棘は短くて15本あり、互いに離れている。全長は15センチメートルぐらいになるが、雄は雌よりも小さい。藻場(もば)などの浅所にすむ。雌雄で形や色合いが異なる。成熟した雄には大きな生殖突起があり、臀(しり)びれの縁辺はアーチ状にくぼみ、両顎(あご)に歯がある。雌では臀びれがほとんど直線状であり、両顎に歯がない。春に、やや粘性のある径約2.4ミリメートルの卵を、マボヤの鰓嚢(さいのう)を取り囲む室の中へ産む。孵化仔魚(ふかしぎょ)はしばらくそこに留まる。食用にしない。
[落合 明・尼岡邦夫]