クロカンの乱(読み)クロカンのらん

改訂新版 世界大百科事典 「クロカンの乱」の意味・わかりやすい解説

クロカンの乱 (クロカンのらん)

16世紀末期から17世紀前半にかけて西部および南部フランス農村各地に発生した農民一揆総称クロカンcroquantsとは〈股鍬crocで耕す土百姓〉の意味で,農民に対する蔑視用語である。反乱の多くは物価暴騰や疫病の流行,戦乱による生存の不安から発生している。したがって,自然発生的で散発的であった。しかし,しだいに中央の王政府が要求する諸税増徴に抵抗する広範で組織的な大反乱を誘発した。1624年,37年の一揆がそれである。これらの大反乱は下級騎士や小教区司祭,公証人などに指導され,〈国王万歳,悪税なし〉の叫びを繰り返して南西部一帯に波及した。この叫びは,地域住民がその伝統と慣習特権として保障する国王と直結し,それを侵害する増税と徴税役人に反対する意志表示であった。つまり,この反乱は,姿を現しつつある初期近代国家権力に侵害されはじめた南西部農村社会の抵抗運動と言える。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クロカンの乱」の意味・わかりやすい解説

クロカンの乱
クロカンのらん
Révolte des Croquants

1593年および 1630年代から 40年代にかけ,フランス中西部,南部一帯で大規模に展開された国王課税に反対する農民反乱。クロカンとはアンリ4世,ルイ 13世統治期に一揆を起した農民の蔑称

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