改訂新版 世界大百科事典 「クープレー」の意味・わかりやすい解説
クープレー
kouprey
Cambodian forest ox
Bos sauveli
別名コープレー。ガウアに似てやや小さく,角がいくぶんスイギュウに似た偶蹄目ウシ科の哺乳類。カンボジアと隣接のタイ,ラオス,ベトナムの一部の林が点在する丘陵地にすむ。体長1.8~2.2m,尾長0.9~1.1m,体高1.5~1.9m,体重500~900kg。体毛は短く,色は雄成体では黒褐色,若雄は赤褐色,雌は灰褐色,四肢の下半部は白色。首の垂れ皮が大きく,雄ではほとんど地面に着く。雄の角は長さ80cmに達し,基部はスイギュウの角のように扁平,先端近くの灰色の表層が剝離し,内部の暗色部が露出する。これは角で土を掘り,木の幹に突き刺すためらしいといわれる。雌の角は40cm以下,軽く栓抜状にねじれる。ふつう20頭以下の小群ですみ,日中は森の中で休み,朝夕森を出て草を食べる。12~1月に1子を生む。1937年に発見された珍種で,バンテンとガウア,家畜のウシ,またはスイギュウの雑種説もあったが独立種らしい。40年には約1000頭いたが,69年には100頭に減り,絶滅が心配される。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報