グアラニ族のイエズス会伝道所(読み)グアラニぞくのイエズスかいでんどうしょ(その他表記)Jesuit of the Guaranis

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

グアラニ族のイエズス会伝道所
グアラニぞくのイエズスかいでんどうしょ
Jesuit of the Guaranis

アルゼンチン,ブラジル,パラグアイの国境地帯に残る 17世紀イエズス会の先住民教化のための集落跡。 17世紀初頭,スペイン国王はラプラタ地方に住むグアラニ族キリスト教に帰依させるためにイエズス会の宣教師を派遣した。宣教師たちはウルグアイ川とパラナ川に挟まれたジャングル奥地に分け入り,教化施設のレドゥクシオンを建設して先住民とともにユートピア的な共同生活を送りつつ布教に努めた。レドゥクシオンはアルゼンチン,ブラジル,パラグアイの国境地帯に 30施設が建設された。しかし約 160年後,イエズス会士追放令が発せられると,集落は放置され,ほどなく廃墟と化した。現在,聖堂の一部や宣教師たちの住居などがわずかに残る。 1983年にアルゼンチンのサン・イグナシオ・ミニ,サンタ・アナ,ヌエストラ・セニョーラ・デ・ロレート,サンタ・マリア・ラ・マヨールが,1984年にはブラジルのサン・ミゲル・ミッションが,1993年にはパラグアイのラ・サンティシマ・トリニダード・デ・パラナ,ヘスス・デ・タバランゲが,それぞれ世界遺産の文化遺産に登録。

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