翻訳|missionary
キリストの福音(ふくいん)を宣(の)べ伝え、教会を広めるために、キリスト教がまだ根づいていない地域の国々に派遣される司祭や牧師をいう。広義には、これらの聖職者を直接間接に補助する人々も含む。「全世界に出ていって、すべての人々に福音を宣べ伝えよ」(「マルコ伝福音書」16章15)とのキリストの教えに従って、キリスト教はその最初期から布教活動を積極的に行ってきた。使徒パウロの活動はその典型であり、アテネのアレオパゴスでの宣教の演説は名高い(「使徒行伝」17章19~34)。その後も宣教活動は、多くの殉教者を生み出しつつも絶えず続けられ、とくに中世のフランシスコ会やドミニコ会の活動、16世紀のイエズス会を中心とするアジア、アフリカ、新大陸への宣教は、キリスト教史上においても重要なできごとである。日本にも、イエズス会士ザビエルはじめ、16~17世紀にかけて多くの宣教師が来日し、キリシタン時代を築いた。
近代に入っては、「近世海外伝道の父」とよばれる英国バプテスト教会のケアリーのインド宣教を嚆矢(こうし)に、プロテスタント諸教派にも海外伝道熱が高まり、わが国にも幕末の開国後、ブラウン、ヘボン、ウィリアムズ、フルベッキ、バラ、ジェーンズ、カトリックのジラール、プチジャン、ロシア正教のニコライらが次々に渡来して活躍した。なお、こうした宣教師たちが、キリスト教の普及と同時に、西洋文化全般と布教地の諸文明との仲介者の役割を果たしてきたことも歴史的に重要である。
[鶴岡賀雄]
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キリスト教会が外国伝道のために派遣する職務。狭義には牧師,司祭で外国教会に派遣された者をいうが,広義には教育や社会福祉事業に従事する者,一般信徒で教会から派遣されて,そうした事業に携わる者のことをもいう。キリスト教会が存在しなかった国におけるキリスト教伝道は,宣教師の働きによって始められる。日本でもキリシタン時代に始まったカトリックの伝道,明治初期に始まったプロテスタントの伝道は,いずれも献身的で優秀な宣教師の働きによる。宣教師の生活・伝道事業の経費は母教会が負担し,伝道地の教会が成長,自立できるように助けるのが通例である。かつての日本のように,西洋文明移入のためにも宣教師は重要な働きをした。欧米キリスト教諸国とアジア,アフリカ等の非キリスト教諸国との政治的・文化的関係が急激に変化した今日,現地の教会と社会のための良い助け手,協力者としての宣教師の使命の新しい理解が必要だといわれている。
→伝道
執筆者:加藤 常昭
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異教地へのキリスト教布教活動に従事する伝道師。日本には,1549年(天文18)渡来したフランシスコ・ザビエルをはじめとする。広義には神父・修道士のほか,そうした活動を補助する一般信徒も含める。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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