改訂新版 世界大百科事典 「グリスボック」の意味・わかりやすい解説
グリスボック
grysbok
Raphicerus melanotis
偶蹄目ウシ科の哺乳類。ロバのような幅広く,先のとがる大きな耳をもつ小型のアンテロープの1種。一般にスマートな体型をもつアンテロープ類としては,体軀(たいく)が太く脚が短い。雄は長さ7~8cmの短い角をもつ。体長63~90cm,尾長4~8cm,体重7~14kg。体毛は長く,赤みがかった茶色の毛に白色の毛が混じり,全体として白髪頭のような印象を与える。体の腹面は白色。南アフリカ南部で絶滅をまぬがれている数少ない偶蹄類。乾燥した低木がまばらに生える草地に,単独あるいはときに2~3頭の小さな群れですみ,木や草の葉を食べる。夜行性で,昼は暑さを避けて茂みの中で休む。水なしで長期間生きることができる。敵が近づくと走って逃げるかわりに茂みに入って地面に身を伏せる習性がある。ほとんど踏みつけられそうになるまでじっと動かない。繁殖期は一定せず,雌は妊娠期間168~177日で,ふつう1子を生む。
執筆者:今泉 吉晴
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報