改訂新版 世界大百科事典 「グルニア」の意味・わかりやすい解説
グルニア
Gournia
エーゲ海南部,クレタ島東部のメラベロ湾に近いミノス文明の遺跡。小さい丘の全体を占めた地方都市で,前17,前16世紀に栄えた。約1万5000m2にわたって発掘され,町の全体の姿をあらわした珍しい遺跡で,ミノス文明のポンペイといってよい。見晴しのよい高所に宮殿と呼ばれる建物があるが,クノッソス宮殿の小模型にすぎず,この地方の総督の住居であろう。多くの部屋,倉庫,中庭もあるが,つまびらかにできない。その南に接して広場があった。これらを中心として,2本の環状道路と多くの小道が縦横に走り,いずれも舗装されていた。道路により全区域は不規則な6区に分けられるが,家々はいずれも小さく,直接に道に沿い,1階は倉庫などにあて,住居は2階にあった。これがミノス風である。多くの陶器などのほか,3軒の金工の店や,ろくろ,油か酒の搾り器も発見され,手工業と農牧漁業の町であったことがわかる。
執筆者:村田 数之亮
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報