改訂新版 世界大百科事典 「グンネラ」の意味・わかりやすい解説
グンネラ
Gunnera
フキに似た巨大な根生葉を展開する種を含み,熱帯に広く分布するアリノトウグサ科の多年草。グンネラ属は約30種あり,それらが隔離的な分布をすることでも有名。
根生する葉柄に,卵形から円形や円腎形で基部は心形となる葉をつけ,時には掌状に切れこむ。花は雌雄異花で,小型,緑色をおび,葉柄基部から生じる花序に,多数が穂状あるいは総状に密集してつく。大型の種ではアキタブキのように葉柄の高さ2m以上,葉身3mに達するものから,高さ10cmほどにしかならず,カーペット状に生育するものまである。コウモリガサソウG.chilensis Lam.は南アメリカのチリ原産の大型種で,茎葉を食用に,あるいは屋根ふき材にし,また観賞用に栽植もされる。オニブキG.manicata Lind.は南ブラジル原産でこの属の最大になり,栽植される。マレーシア地域のG.macrophylla Bl.の花序は野菜とされ,市場で売られることがある。南アメリカ南部に分布するG.magellanicaは最小の種を代表するもので,やはり栽植されることがある。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報