改訂新版 世界大百科事典 「グースリ」の意味・わかりやすい解説
グースリ
gusli
ロシアの撥弦楽器。チター型弦楽器に属し,この国では最も古い起源をもち,ロシアの吟遊詩人がブイリーナの伴奏に用いたといわれる。ひざの上に胴をのせ,右手にピックを持って弦をはじいて音を出し,左手で音を消す。翼形,兜形,箱形の3種がある。翼形は北西ロシアに多くみられ,全音階的な5~14弦をもち,フィンランドの同じチター型の弦楽器カンテレと似ている。兜形は南東ロシアに広がっていて,やや大きく,10~36弦をもち,タタールやチュバシなどの同種の楽器と類似している。箱形は17世紀以降主として都会で流行したもので,横長の箱の中に60本前後の弦が張られ,西洋の鍵盤楽器(チェンバロやピアノ)の代りに用いられた。いずれの形も現在の民族楽器のアンサンブルで用いられている。
執筆者:森田 稔
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報