ケイ素鋼板(読み)ケイそこうはん(その他表記)silicon steel sheet

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケイ素鋼板」の意味・わかりやすい解説

ケイ素鋼板
ケイそこうはん
silicon steel sheet

炭素量がきわめて低い軟鋼にケイ素 0.5~6%加えた鋼板。もっぱら変圧器,発電機,電動機などの鉄心に用いられ,電気鉄板,電磁鋼板とも呼ばれる。熱間圧延でも冷間圧延でも製造されるが,冷延製のほうが電磁性能がよいので近時はこれが多い。特に冷延後水素中で焼鈍して再結晶を促し,結晶粒方位を異方性集合組織にしたものが高性能を示す。電磁性能は磁気履歴損失 (鉄損) ,渦電流損失が小さく,磁束密度,電気抵抗が大きいことにあり,JISでは,関東の標準交流 50Hzの交番磁場で最大磁束密度 1.7テスラのとき 1kgあたりの鉄損,および 800A/m の磁場での磁束密度,さらに板厚によって数種のケイ素鋼板が規格化されている。薄板にするのは渦電流損失を小さくするためで,表面をリン酸塩処理 (→パーカライジング ) して絶縁皮膜をつける。なおアルミニウム3~8%を加え,ケイ素5~11%としたセンダストは初透磁率が特に高く,一層すぐれた電磁特性をもっているが,まったく圧延できないので,絶縁性粘結剤を加え圧粉成形して高周波磁心に用いる。

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