磁性材料のうちの高透磁率合金の一つ。ケイ素9.5%,アルミニウム5.5%を含む鉄合金で,パーマロイに匹敵する高い透磁率を示し,また飽和磁束密度も高い。非常に硬くてもろく,鍛造や圧延などの加工はできない。1937年に増本量,山本達治によって発表された合金で,仙台市(東北大学)で発見され,粉(ダスト)にしやすいことから,この名が付けられたといわれる。粉にして圧し固めて同調コイルなどの磁心として使われてきた。最近では,磁気ヘッド材料として脚光をあびている。オーディオ用の磁気テープに保磁力の高い磁性粉(メタル)が用いられるようになって,耐摩耗性にすぐれ,パーマロイよりも高い飽和磁束密度をもつ磁心材料が必要になってきたためである。磁気ヘッドはふつう鍛造したものを切削して作られるが,センダストに合金元素を添加して圧延可能な合金が開発されることによって,溶融状態から超急冷して薄板を作ってそれを磁気ヘッドにする方法が可能になった。
執筆者:大久保 忠恒
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…ついで熱膨張のほとんどない鉄・ニッケル・コバルト三元合金組成とその原因を解明し,31年帝国学士院賞を得た。その翌年にはMK鋼にまさる永久磁石鋼新KS鋼(本多,白川勇記と共同)および高透磁率合金センダスト(山本達雄と共同)を,40年には磁歪(じわい)振動子用合金アルフェル(白川,小林猛郎と共同)を,それぞれ発明し,46年それらの研究成果にたいし学士院恩賜賞を得た。50年金属材料研究所長。…
※「センダスト」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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